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【スポーツを斬る】 馬場ゆかりが大会初優勝を飾って、10月2日に終わった今季国内女子メジャー第3戦、日本女子オープン選手権(愛知県名古屋GC和合=6383ヤード、パー70)。優勝スコアは何と12オーバー。12アンダーとお間違いなく。4日間の平均ストロークは77・093。つまり1日平均7オーバーをたたく計算だ。長さ8センチと深くはないが、ボールがすっぽり沈むラフに、小さくて硬く速いグリーンというタフな設定に選手の口からはため息とともに、「難しい」の言葉がつきまとった。
■成長促す難コース
右脚の付け根に違和感を覚えながらも最終日に優勝争いに加わり、存在感を示した宮里藍だが、「どうパーをセーブしていくかを考えていたので、まあ難しかったですね」と苦笑を浮かべていた今回の設定。最終組の馬場の2組前でラウンドし、一時は首位に立ったアン・ソンジュ(韓国)も「さすが名門。さすが女子オープンという4日間のセッティングでした。これほど難しいコースの条件の中、プレッシャーに耐えた馬場さんを尊敬します」と賛辞を贈った。
フェアウエーの幅は最大で20ヤード。グリーン手前に花道はほとんどなく、手前からは攻めづらい。そのうえグリーンは風が吹くことで「コンクリートのよう」と宮里美香が表現したようにガチガチに硬くなり、ボールを直接落としてはグリーン外にこぼれ落ちてしまう。「どう攻めればいいの」と嘆くのも分かる。一部には「タフな設定ではなく、意地悪なだけ」と陰口をたたく報道もあった。
溝口まち子競技運営委員長は「いろいろ(選手の思いは)あると思うが、選手は技量向上してほしいと考えた。(2016年に)五輪で(ゴルフ競技も)あるし、日本のレベルを上げていきたい」と最終日の競技終了後に設定の狙いを説明していた。
「井の中の蛙、大海を知らず」のことわざがある。国内のゴルフ場は商業ベースもあり、一般向けにきれいに整備され、スコアが出る環境が整っている。だが、米国など海外では日本ほど整備されていないゴルフ場も多いと聞く。石川遼は大会前に大雨が降りコースコンディションが荒れた状況をゴルフ場側などが懸命に整備して大会を開催される状況まで改善させた努力に「感謝」の言葉を忘れずに話す。海外でプレーする機会が多い石川だけに、諸外国のコース状況を目の当たりにして日本のコースの良さを改めて認識しているからだろう。
昨季覇者として臨み、20位に終わった宮里美香は「こういうタフな設定は初めて経験したので悔いは残りますが、今後の課題も見つかったし」と成長の一過程と位置づけ、自らの技量向上を期した。ローアマチュアとなった比嘉真美子(沖縄・本部高3年)も「去年から(日本ゴルフ協会の)ナショナルチームのメンバーとして海外の選手たちと戦う場面があった。日本にいるよりも視野が広がりましたし、ジャパンを背負ってプレーする誇りを教えてもらいましたプロになってもジャパンという国旗を背負いながらプレーできる日がきたらと思います。オリンピックに出たいです」と自らの進路を明確に思い描く一助にしていた。その志は良しだ。
■プロの醍醐味楽しめたか
その一方で、プロのプレーの醍醐味を期待したファンは十分に楽しめたかといえば疑問だ。ラフに入れればフェアウエーに戻すだけ。バーディー率は4日間で7・735%でしかなかった。宮里美香は「正直初めてです」と主戦場の米ツアーでも経験のない設定と明かした。宮里藍も「米国でもないですね。全米女子オープンとかと違う難しさだと思うので…」と語った。長く米女子ツアーでプレーした経験を持つヤング・キム(韓国)も「1打1打に自分の持つ能力を試されるコースですね」としながら「(難しさは)自分の中では海外も含めて1、2位ですね。必ずアンダーパーは1人、2人いるものなんですけど、1人もいないのは初めてで驚いています」と話した。
我慢のしのぎあいに、4日間の観客数は2万648人にとどまった。茨城・大利根CCで開催された昨年は最終日に1万人が来場し、2万6674人を数えた。宮里美香が2位に6打差の12アンダーで優勝したが、アンダーパーは8人しかいなかった。それなりにメジャーならではのタフな設定ではあった。今回は大都市・名古屋市で開催されたにもかかわらず、最終日は7624人にとどまった。ファン心理としてスコアの出ない設定の大会を観戦しても、と思っても不思議はない。さらに今回、ゴルフ場にこだまする歓声もほとんど聞かれなかった。
選手の技量と問うタフなメジャー設定は大会の威厳を高め、選手が一度は手にしたくなる名誉となる。ただ、その前にファンがいてこそ大会も彩りを添えるというものだ。12オーバーの優勝スコアは北海道室蘭GCで行われた2001年大会の14オーバーに次ぐ最多優勝ストロークになった。アマチュアで出場した宮里藍は5位に食い込む健闘をみせたが、観客数は前年を2463人下回る1万44人にとどまった。
来年は神奈川県横浜CC西コースでの開催が決まっている。1978年の日本オープンの会場になった難易度のある関東を代表するコースだ。選手の技量を問いながら、ファンも楽しめる設定を望みたい。
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